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【都市伝説】プレラの片靴
靴を作る妖精プレラの伝承は、霧が濃い日の不気味な風景とともに語られることが多い。道端に片方だけ転がっている靴があれば、それはプレラがわざと落とした方靴だという。残りの片方は異界に隠され、二つが合わさることはめったにない。だからこそ、もし... -
【都市伝説】消えた一日
ある日突然 この街の歴史から一日だけが消えると噂されている 「消えた一日」が出現すると その当日はどの新聞や記録にも載らず まるで空白のように扱われる ただし ごく一部の人は 「消えた一日」を体感できるらしい その日を過ごした者は 翌日に混乱を覚... -
【都市伝説】いつかの道
ある街には “いつかの道”と呼ばれるものが存在するという噂がある。誰もが普段は目に留めず ふとした拍子に「こんな道あったっけ」と首をかしげる。何の変哲もない舗装路だったり 細い路地裏だったり あるいは草むらの抜け道だったり形態は様々だ。しかし ... -
【都市伝説】ピーマンが怖い
ピーマンが大嫌いな5歳の女の子がいて、彼女は毎晩寝る前に窓際で月に向かってお願いをしていた。「どうか明日こそピーマンが食べられますように。好きになれますように」と、ささやく声で短く祈っていた。ある朝、母親が作った朝食のピーマンを、一瞬の躊... -
【誰かの手記】神が左手で作った時間
僕の家からそう遠くない山あいの小道を、ある日ふらりと歩いていたときのことだった。夏の終わりの湿った空気に包まれながら、見慣れたはずの景色がなぜか歪んで見える。夕方にしてはやけに空気がひんやりしていて、どこかで風鈴の音が聞こえたような気が... -
【都市伝説】終わらない夕方
「終わらない夕方」とは、朧区には夏だけ、不規則に訪れる現象のことである。通常なら夕陽が沈むはずの時刻を過ぎても、太陽が動きを止めるように見え、空はいつまでも濃い橙色を保ち続ける。その瞬間が訪れるのは、人通りの少ない裏道や、古い神社の脇道... -
【都市伝説】日没影溶摂取(にちぼつエイヨウせっしゅ)
「日没影溶摂取(にちぼつエイヨウせっしゅ)」とは、霞丘区とその近隣で稀に発生する、冥ヶ崎特有の怪奇現象である。本来なら普通に暮らしているはずの人々が、薄暗い夕空の下で自分の影を見失うのだ。最初は見間違いと思いがちだが、足元を照らすはずの街... -
【都市伝説】冥ヶ崎人格スワップ現象
『冥ヶ崎人格スワップ現象』とは、冥ヶ崎市内の主要4区である、紅倉区、霞丘区、冥ヶ崎中央区、朧区の住民たちの人格が文字通り入れ替わったかのような現象のことである。最初は数人が「なんだか隣人の性格が急に変わった」と訝しんだだけだったが、次第に... -
【都市伝説】怪猫憑きの血筋
母方の家は「猫憑き」だと母に聞かされたが、いつもは冗談だと笑っていた。ある日、実家の押し入れを整理していると、埃まみれの古文書が出てきた。母に問いただすと、大昔に化け猫を退治したとかで、そのとき一族に呪いじみた“猫の魂”が宿ったという。そ... -
【都市伝説】家族会議コンサルティング
霞丘区の住宅街で「家族会議コンサルティング」という張り紙が密かに出回り始めた。連絡先として書かれた番号は何度かけても「現在使われておりません」の音声が流れるだけだという。実際に契約したという人は一人もいないのに、不意に玄関ポストに契約書... -
【都市伝説】カウントダウンを告げるAI
冥ヶ崎市役所の廊下奥にある端末室には、取り外せない古いパソコンが一台だけ置かれている。職員が使うわけでもなく、説明書も見当たらないため、長年放置されていた。ある職員が好奇心で起動しようとしたところ、モニターには真っ黒な画面と、緑色の文字... -
【都市伝説】悪意オークション
「悪意オークション」は、開催日時も会場も一切告知されず、ただ特定のSNSにランダムで表示されるURLからのみ参加可能だという。URLは数分から数十分で無効化されるため、多くの人は怪しんでためらっているうちにアクセス不能になるらしい。実際に参加でき...