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【都市伝説】動いてはいけない給食時間

紅倉区のとある小学校では、
誰も動いてはいけない給食時間がある。
正午の鐘が鳴った瞬間、
教師も生徒も、
まるで操り人形のように静止するのだ。
箸を持ったままの手が空中で止まり、
口を開きかけていた子は、唇を半分だけ開いたまま固まる。
その光景は、まるで時間が切り取られた一枚の写真のようで、
廊下を歩いている用務員のおじさんですら、
とっさに立ち止まり、息を潜める。
去年まで存在していなかったように思われる。
不自然なルールというほかないのだが、
校長先生をはじめ、職員室も、
一切の説明をする気はなさそうだった

ある保護者は、
「どうしてあんな給食時間が必要なのか?」
問いただしたと言う。
しかし返ってきた言葉は、
「この小学校は昔からそうなんですよ」
という曖昧な回答だけ。
まるで何かを必死に隠すかのように、
大人たちが一斉に目を背けるのが不気味だった。
転入生の中には、
そのルールに気づかず動いてしまった子もいる。
実際にある日、
給食当番の当日を忘れた転校生が、
焦って席を立とうとした瞬間、
床に崩れ落ち、
次の瞬間、
クラスメートたちは息を呑んで見守るしかなかったという。
その子がどうなったかは、
誰も語らない

翌日になって、
教室からその転校生の机が消えていた。
ロッカーの中身も、
彼の存在を示す全てがなかったことになり、
ホームルームの名簿からすら名前が消えていた。
生徒たちは教師に詰め寄るが、
「そんな生徒はいなかった」
と言い切られ、
涙ながらに抗議する子も、
やがて口を閉ざしてしまう。
さらには各家庭への連絡網にも、
その生徒の連絡先は載っていない。
まるで夢を見ていたかのように、
何事もなかったかのように日常が続く

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