【洒落怖】愛

呪いって本当にあると思いますか?

これは、この話の中ではT子としますが、私が本当に経験したお話です。

私は以前、とある4年制の専門学校に通っていました。

同じ学科で1番仲の良かったA子という女の子。

通学するのも一緒、
授業受けるのも一緒、
帰りも一緒、
身長も一緒、
体重も一緒、
髪の長さや色も一緒、

そして、

顔もほとんど一緒。

違う点と言えば、
私はいつもカジュアルでテキトーな服を着ているのに対し、
A子はオシャレ好きで、毎日短いスカートと高いヒール、派手なアクセサリーを付けていました。
そして頭の悪い私に対して、A子は学年内でもトップを取るほど成績優秀。

そこだけ見たら、私とA子は真逆でした。

お互い彼氏はいませんでした。

でも、欲しいなんて思わない。

私たちはお互いさえ居れば良かったんです。

入学して1ヶ月も経たないうちに、私たちは共依存のような関係になっていました。

A子の家にお泊まりしたり、2人で某テーマパークに行ってお揃いのブレスレットを買ったり、旅行に行ったり、キスをしたり。

とにかく、仲良しでした。

「死ぬまでずっと一緒ね」
「違うよ、死んでも一緒」
「T子とA子は2人でひとつだからね」

と、そんな小学生のようなことまで毎日のように言い合っていました。

入学した年の冬、

A子が同じ学科のHと付き合い始めました。

次第にA子と私は、一緒にいる時間が減っていきました。

もちろん、寂しかったし、怒りの感情もありました。

ですが、大好きなA子が幸せそうにしていると、
何も言えませんでした。

2人が付き合ってから2ヶ月後、私はHに呼び出されました。

私の大好きなA子を取ったHからの呼び出し、
あまり気持ちのいいものではありません。

ですがやはりA子の彼氏だからと腹を括って、
呼び出された場所へと行きました。

H「俺さ、T子のこと好きなんだよ」
私「は?」
H「本当はT子と付き合いたい。ただA子がさ、あいつさ、別れ話しようとすると話逸らしたり、どっか行っちゃったり。全然別れられねぇんだよ。それからいつも、死んでも一緒とか言ってさ。めちゃくちゃ重くない?」
私「あ、そう、、」
H「でもやっぱりT子が好きで。だから、付き合ってくれない?」

この男は何を言ってるんだ?

A子を傷つけようとするHに対し怒りが湧いて、、

来ませんでした。

A子に復讐してやろう。

「死んでも一緒」


私以外にこの言葉をかけるなんて。

許せませんでした。

A子とHを別れさせて、見せしめに私がHを奪う構図。

そうしたら、A子は自分の誤ちに気づくんじゃないか?

私の気持ちを踏みにじったことを後悔するんじゃないかないか?

分からせてやる。

、、そう思いました。

Hと協力し、
A子を精神的に追い詰めました。

教室でテキトーな財布を盗みA子に窃盗の罪を被せたり、A子の席にカンニングシートを入れてわざと報告したり、A子が成績優秀なのは先生とみだらな行為をしているからだとデマを流したり。

その度にA子はHに相談しますが、

A子が悪いと一蹴する。

そんなことを繰り返しました。

周りも巻き込み、

A子は徐々に孤立していきました。

A子がHに別れを告げたので、Hの計画は終了。

でも、私の復讐は終わっていません。

私は攻撃の手を緩めませんでした。

A子が私に頼って縋って来るまで
やり続けようと決めていました。

けれど、A子は頼ってくれませんでした。

それどころか、A子は学校を中退しました。

A子がいないならもう意味が無い。

A子への見せしめで付き合っていたHともすぐに別れ、A子とお揃いで買ったブレスレットは捨て、A子写真も全て消しました。
A子のことを忘れたかったんです。

きっと私は、A子に恋していたんだと思います。

だからこそ、裏切られたようで悲しかったんです。

A子が退学して1ヶ月後、
飼っていた猫が急にいなくなりました。

どうすればいいか分からないでいると、

父から

「うちの猫が道端でカラスにつつかれて死んでいる」

そう連絡が来ました。

でもおかしいんです。

うちの猫は外には全く出ない子。

なのに何故外にいたのか。

そして立て続けに、

母が亡くなりました。

心筋梗塞による急死でした。

その後すぐ、

クラスメイトが十数名、急に学校に来なくなりました。

退学する者も何人かいました。

誰ひとりとして理由が分かりませんでした。

そしてその2ヶ月後、

Hが突然姿を消しました。

行方不明になり、私含め学科の人間も探しました。

1週間後、

A子が在学中一人暮らしをしていた部屋で、下半身を露出した状態で見つかりました。

しかし、A子は退学したその日からもうその家には住んでおらず、九州の実家へ帰っているはずでした。

ですから、Hは窓を割って侵入したようでした。

その後Hは精神病院に入院したらしいのですが、

結論から言うと、

入院から3ヶ月、一時的に退院してからすぐ、

首を吊って亡くなりました。

遺書も何もありませんでした。

亡くなった場所は

A子が一人暮らしをしていたアパートの階段。

手すりの柵に縄をかけて亡くなっていたそうです。

A子に連絡を取ろうとしても

A子は連絡先を全て変えたようで連絡がつきません。

先生方に聞いても口篭ります。

Hが入院してる間にも、私の姉が急に気が狂ったように発作を起こし始めたり、父が宗教にハマったり。

そんな大変な状況下でのHの死でした。

そしてその後すぐ、

もう1人のクラスメイトが失踪しました。

そのクラスメイトはM子という子で、

A子がHと付き合い始めてから、
私がよくつるんでいた子でした。

失踪したと知った私は、
まさかと思い、A子のアパートへ向かいました。

A子が暮らしていた部屋のベランダに

顔をパンパンに腫らしながら泣いているM子がいるんです。

何があったのか、何故ここに居るのかと聞いても

泣きながら笑い声を上げるだけ。

唯一聞き取れたのが

「ご、、さ、、、だい、、、し、、、ま、、、ね、、、」

意味がわかりません。

とにかく学校に連絡をして親御さんが迎えに来て、、

その時、やっと気づいたんです。

失踪したクラスメイトは、
私とHの指示に従って無視を続けた人間。

そしてA子のアパートで見つかったのは、

主犯格の人間。

A子の仕業だ。

猫と母の死も、きっと。

ただ、直接手は加えてない。

呪い

そんな言葉が頭に浮かびました。

次は私なんだ、そう確信しました。

バカバカしいと思うでしょう?

私もそう思います。

けど、そうとしか考えられないのです。

3年生になった年のある日の授業中。

いきなりピタッと、先生の声が止みました。

前を見ると、

今にも目玉が零れそうなくらい目を見開いて先生がこちらを睨みつけていました。

驚いて周りを見ると、

周りの生徒も同じ顔でこちらを見ているんです。

それに気づいた瞬間、先生が

「ごめんなさい。大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい。大好きだよ。」

徐々に他の生徒の声も混じって

ごめんなさい。大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい。大好きだよ。ごめんなさい。大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい。大好きだよ。ごめんなさい。大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい。大好きだよ。ごめんなさい。大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい大好きだよ。ごめんなさい。大好きだよ。

訳が分からなくなり、カバンを持って教室を飛び出しました。

教室を出てからのことは覚えていません。

ただ、
とにかく走っていたことだけは覚えています。

そして気づくと、

A子のアパートまで来ていました。

座り込んだまま体が動かなくて、涙が滝のように出てきました。

誰かが後ろから近づいてきます。

ゆっくり、ゆっくり。

コツ、コツ、

と、ヒールの音を鳴らして。

ああ、死ぬんだ。

そう思った瞬間、

後ろから急に抱きしめられました。

その腕には、

私とA子がテーマパークでお揃いで買った
ブレスレットが光っていました。

「ごめんなさい。大好きだよ。、、死ぬまで、、いや、死んでも一緒ね。」

そう耳元で聞こえ、ゆっくりと横から

愛おしい人の顔が近づき、

そっとキスしました。

それからの記憶はすっぽりありません。

気づくと、病院のベッドにいました。

A子のアパートの前で

コンクリートに頭を何度も打ち付けた状態で気を失っていたそうです。

先生や学科の友達からは心配の連絡が何件も入っていました。

授業中、私が急に立ち上がり、涙を流しながら泣き始め、周りの手を振り切って走ってどこかへ行ってしまったと言うのです。

その時私は

「私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き私も大好き」

と、ブツブツ呟いていたそうです。

それから私は精神的病と診断され、

精神科に通院しながら、専門学校を卒業しました。

その後は普通に仕事をしていましたが、

現在は芸能関係の活動をしています。

ファンもついてきて、芸能関係の仕事も増えてきて、

充実した毎日を送っています。

ただ、あの日のことは本当に鮮明に覚えており、

未だに夢に出てきます。

腕に光るブレスレットを見る度に、思い出します。

私のことをずっと思い続けていたあの子、私に嫉妬させたくて男を使うあの子、私を振り向かせるためなら手段を選ばなかったあの子。

あんなに効果があるなんて。

本当に、

T子が会いに来てくれて

嬉しかったです。

提供者:勿忘草

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