僕の家族は5人と犬1匹。風呂掃除や犬の散歩などの簡単な家事は、僕と妹2人で曜日ごとの当番制にしていて、僕の担当は週に2日ほど回ってきます。
妹たちは面倒くさがらずに犬の散歩に行くのですが、僕はというと、どうにも面倒くさくて後回しにしてしまいます。結局、夜になって親に「当番なんだから行け!」と無理やり言われるまで動きません。なので僕が散歩に出るのは、夜の11時や0時になることも珍しくありません。
夏なんかは、昼間だと暑いので夜の方が涼しくてちょうどいいんですけどね。
僕の散歩コースは、車が通らない細道や、そこそこ車が通る大通りを組み合わせた適当なルートです。ぐるっと円を描くように回って家に戻る感じで、所要時間は40分ほど。
ある日、いつものように散歩を後回しにして家でダラダラしていたら、親が「今日こそ行け。行かないなら来週の当番全部やらせる」と、いつもより強い口調で言ってきました。先週は用事で散歩に行けなかったこともあり、さすがに1週間全部やらされるのは嫌だったので、仕方なく行くことにしました。時計を見ると、すでに午前1時を回っていました。
外に出ると、ご近所はすっかり就寝中らしく、ほとんどの家の電気が消えていて、いつもより暗く感じます。唯一の光といえば、不気味に光る電柱くらい。僕は片耳だけイヤホンをつけ、いつもより早足で歩き始めました。
そしてコースの中間あたり、大通りに差しかかった時、異変が起きました。
田舎でも都会でもないこの町では、深夜1時を過ぎると車の通りは極端に少なく、人とすれ違うこともせいぜい2~3人程度です。
「やっぱりこの時間だと車はほとんど通らないな」なんて考えていたその時でした。
大通りの道路の真ん中に、黒い“人影”のようなものがいて、こちらに手を振っているのです。
道路の真ん中といっても、その大通りは片側2車線で、車線と車線の間にはガードレール代わりの花壇があります。その黒い影は、ちょうどその花壇の上に立っていました。
花壇の上なので車の邪魔になることはありません。最初は「作業員が点検でもしているのか?」と思いましたが、この道は通学路で、最近そこに工事が入った記憶はありません。それに、こんな夜中に作業員が立っているはずもない。
「置き物が風で揺れて、手を振っているように見えるのかもしれない」――そう自分に言い聞かせました。
しかし近づくにつれて、それは置き物ではないとわかってきました。
影は、どう見ても人の形をしていて、僕に向かって手を振っている。いや、手招きしているようにも見える。
人だろうと何だろうと、そんな時間に道路の真ん中で手招きされるのは不気味でしかありません。
もしかしたら、変質者かも知れませんし。
僕は怖くなり、その人影から距離を取ろうと早歩きになりました。後ろを振り返りながら、「目を離したらついてくるんじゃないか」と怯えつつ。
けれど、実際には何も起きず、無事に家に到着。あれは見間違いだったのだろうと自分に言い聞かせました。
翌日は休日で、なぜか早く目が覚めました。昨日の人影が気になったのか、それとも単なる気まぐれか――僕は当番でもないのに犬を連れて散歩に出て、あの場所へ行ってみました。
しかし、やはりそこには何もありませんでした。
昨日見た人影も、立っていたはずの気配もなにもありませんでした。
ちょうどあの人影がいた中央分離帯の植栽だけが、枝分かれし何かが入り込んで押し分けたように深く踏み荒らされていたこと以外は、、、
提供:りくま 様
これは、私が小学生から中学生に掛けて体験した話です。 小学6年生のある日、母が家の前でママ友といつものように長話をしていました。 何でもかんでも気になる年頃…
「お葬式のとき、火葬場への行きと帰りは同じ道を通らない」 皆さんもそんな話を聞いたことがあるのではないでしょうか。 これは、僕が中学生の時の体験です。 母方…
あれは、小学五年の夏休みのことだ。 父方の祖父は、日本の端の小さな島に住んでいる。船で渡るその島は、電波もろくに入らない。都会の喧騒から切り離された、静かす…
とあるライブハウスで働いていた時のこと。 華やかなアーティスト達の演奏を彩る照明担当として働いており、演奏者達の魅力をより高める為のその仕事に誇りを持ってい…
コメント0 件