黒い船

もてぃす 編集長
2026年8月9日 / 心霊 病院 超短編

私は看護師として病院で働いています。病院の特徴や患者層にもよりますが、看護師として働いている以上、人の死が他の職業に比べて身近です。特に私の勤めている病院は高齢の患者さんが多く、看取りの段階に入っている方も多いので、割と頻繁に患者さんの死に立ち会います。

私の病棟では、一人の患者さんが亡くなると、近いうちにまた一人、二人と立て続けに亡くなるということが頻繁に起こります。このことを病棟では「舟がやってきた」と言っていて、特にベテランの先輩看護師からよく聞く言葉でした。おそらくあの世からのお迎え的な意味だとは思うのですが、例え話であって深い意味はないのだろうと思っていました。

先日、私の夜勤中に一人の患者さんが亡くなりました。バタバタしながらも死後の処置を終え、病室の見回りを行っていたときのことです。普段は寝たきりで言葉もほとんど発さない患者さんが、ぱっちり目を開けて私に尋ねてきました。

「この黒い船はどこへ行くんですか?」

提供:ドライシックス 様

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