夕暮れ時、海鳴高校の2年A組の教室。窓の外は濃い霧に覆われ、かすかに波の音が聞こえてくる。大半の生徒は部活や塾に向かい、教室に残っているのは数人だけだ。
A: ねぇ、見た? もてぃす、またヤバい動画アップしてたよ!
B: え、どれどれ? 冥ヶ崎中央区のやつ?
A: うん、あれ! 幽閉階っていうの? マジで怖かった…
C: 俺も見た! あの、食べかけの弁当とか、黒っぽいシミとか… マジで誰かが住んでんのかな?
D: もしかして、もてぃすが仕掛けたんじゃないの? 視聴者釣るためにさ。
A: えー、でも、もてぃすってガチでビビってたじゃん。顔が真っ青だったし。
B: それに、中央区って昔から失踪事件多いし… 何かありそうだよ。
C: あの動画のコメント欄も、やばかったよな。「私も同じフロアで人影見た」とか「夜中に電話がかかってきた」とか…
A: もてぃす、大丈夫かな? あんな動画上げたら、黒霧会とかに狙われない?
D: 大丈夫だろ。もてぃす、結構有名だし。それに、警察も見てるんじゃない? 万が一のときは保護してくれるって。
B: でもさ、もし本当に「空回廊」が存在して、そこで誰かが… 考えただけでもゾッとするんだけど!
C: だからやめろって! そんな話してると、本当に出ちゃうぞ。
A: ねぇ、この週末、もてぃすのオフ会があるんだって。紅倉区の資料館で。
D: えっ、マジ? 行きたい! もしかしたら、もてぃすから直接話が聞けるかも!
B: 私も行きたい! でも、紅倉区って… 人柱伝説の場所だよね? ちょっと怖いなぁ…
C: おいおい、また始まったよ…5 大丈夫だって。もてぃすも一緒だし、きっと盛り上がるよ!
生徒たちは、恐怖と好奇心が入り混じった複雑な表情で、スマホの画面を見つめるのだった。